ダッチワイフの先のアドバルーンの話

それで、ここからなんだけど、この話をする時にいつもなぜだろと気になってたところがありまして、それがどんな事かというと、この話の時に、俺はこんな景色を思い浮かべて話してるのです。

春か秋、ショベルの先にダッチワイフがはためいてて、人達が笑ってて、その向こうに青空があって民家の屋根があって、そのもっと向こうに赤いアドバルーンが2つ揺れていて——。そんな画なんです。

それを毎回思い出して話してるのですが、よく考えると、きっとアドバルーンなんてそんなものはなかったと思うのです。まわりに高い建物もなく民家やその先にも田んぼしかないような地域の空に、アドバルーンがあるのがなんかおかしい。

話してる時にも違和感を感じているし、人にもアドバルーンがあったなんて話さない。けど話す時はいつもアドバルーンとセットに思い出している。なんでだろ? と思っていた長年の謎がOさんと再会してやっと解けたのでした。

Oさんの事を思いだしてるうちに、あの日、隣で一緒に突っ立ってたのがOさんで「じゅんちゃん、俺は昔、アドバルーンをあげる仕事をしてた事があってさー」「デパートの屋上のもっと高いところにはしご掛けて登って……」「二人一組でタッグを組んで色んなデパートの屋上に行ったもんだよ」なんて話を昼休み中に弁当を食べながら聞いてたのを急に思い出した。

それでその話で聞いたアドバルーンが勝手に思い出の中に浮かんでたというか、いい風景になっていたというか、いい飾りに勝手になっていたみたい。そんな事だったみたい。

やっと謎が解けた。すっきりした。よかった。ついでに、無かったアドバルーンが浮かんでても「別にいいじゃん」と思えた。

Oさんとは、そのすぐ後に同じコンビニで再会出来て、今日も道ですれ違ったんですが、「どうもー」と言ったら「じゃんちゃん晴れたねー」と笑って挨拶してくれるOさんは70歳位。「まだそんなもん吸ってんだー?」と俺のタバコに言ってました。春か秋の晴れた空にショベルカーがガタガタ云う音が響き続け、その爪の先に恥ずかしくはためく肌色のダッチワイフのまた向こうに、赤いアドバルーンが2つ浮かぶ景色は、目を閉じて思い浮かべるととても懐かしい。

アマゾン君

どんなの売ってるのか1日見てみたよ。アマゾンは巨大すぎる。俺は今こんなのがほしいね!




ABOUT作者

ジョン

よしぎの店主、駄菓子屋16年目。店では「店長」や「ジョンさん(幼少の頃からのあだ名)」などと呼ばれています。趣味は無し、特技は駄菓子の計算、好きな曲はスーパーマリオのテーマ、好きな色は水色、今年のテーマは根性、漫画喫茶に行って好きな漫画や知らない漫画をたくさん読みたい。今春から駄菓子屋の隣に、レンタルスペース「貸し銀」もオープンしました。よろしくお願いします。